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2023.9.22

女子サッカークラブ「ヴィアマテラス宮崎」の齊藤夕眞さんによる、ダイバーシティセミナーを開催しました

今回は、8月25日にオンライン開催したダイバーシティセミナー「みんな違ってみんないい~一度きりの人生だからこそ自分の納得する自分でいたい〜」の模様をお送りします。


近年、テレビやSNSなどで耳にする機会が増えた「LGBTQ+」。「Lesbian(レズビアン)」「Gay(ゲイ)」「Bisexual(バイセクシュアル)」「Transgender(トランスジェンダー)」「Questioning(クエスチョニング)」の頭文字から名付けられた言葉で、実に日本人の13人に1人はLGBTQ+だと言います。そして、全ての人が働きやすい環境づくりが求められる企業にとって、LGBTQ+への理解や取り組みは欠かせないものになっています。


■幼い頃から悩んでいた自身の性


今回登壇いただいたのは、県内の女子サッカークラブ「ヴィアマテラス宮崎」の齊藤夕眞さん。女性として生まれましたが、幼い頃から自身の性について悩んできたと言います。



「小学生時代の口癖は『男に生まれたかった』。一人称は『俺』で、髪の毛はベリーショート。身につける衣類も男子用のものが多かったです。今考えると、常識や普通を知らなかったからこそ自分らしく生きられていたんだと思います」


しかし、中学生時代から周りの目を気にするようになり、普通の女子生徒のように振る舞い始めたそう。その一方で幼い頃から続けていた女子サッカーの世界は、「学校の普通とは違った」と話す齊藤さん。


「男子ぐらい短髪のチームメイトもいましたし、女性同士の恋愛も行われていました。ありのままの自分で振る舞うメンズ(※)に羨ましさを感じながらも、メンズとはかけ離れた見た目の自分自身に葛藤していた時期でしたね」


※女子サッカー特有の言葉で、同性恋愛において男性的役割の人 



しかし高校時代に初めてLGBTの当事者と出会ったことをきっかけに、自身をトランスジェンダーだと認識。「これまでのモヤモヤがようやくスッキリした」と言います。それと同時に家族へのカミングアウトを行いました。


「カミングアウト前は、『悲しませるかも』『でも理解してほしい』など様々な感情で頭がいっぱいでしたが、『自分の人生だから』と覚悟を持って伝えました」


■「もしかしたらクエスチョニングかも」


カミングアウト後、“女子サッカー選手”である時以外はありのままの自分で振る舞うようになった齊藤さん。しかし26歳の時、男性になるため大好きだったサッカーを辞めることを決断しました。


「男性になるため胸の手術や戸籍の改名、また現在は行っていませんが一時期はホルモン投与もしていました。ですが、男性に近い容姿になったことで戸籍上の男性ではなくても満足している自分がいて。その時から、『自分はもしかしたらクエスチョニングかもしれない』と思うようになったんです」



その後、「もう一度サッカーをしたい」との思いからホルモン投与をやめ、女子サッカー界に現役復帰することを決意。「今はこれが一番自分らしいかも」と、ようやく自分が求めていた姿で過ごせているのだと言います。


「これまでの経験を経て大切にしているのは、男女の性別関係なく必要とされる人になることや、チャレンジや想いを行動に移すこと。中には失敗を恐れてなかなか一歩が踏み出せない人もいると思いますが、失敗は新たな一歩にも繋がると思いますよ」


体験を通じて得た、齊藤選手が思う大切なこと 


最後は、次のようなメッセージで締めくくられました。「人との違いすべてがあなたの個性。何より自分の素敵な個性を大切に、自分自身を大事にしてください」。



その後の質疑応答では、普段の言動で気を付けておいた方がいいことや、親としての子どもとの接し方、子どもへのLGBTQ+に関しての理解や教育について、また齊藤選手が大切にしているモットーなど、参加者からの質問に赤裸々に答えていただきました。



30人弱が参加した今回のセミナー。多くの人にとってLGBTQ+の基礎的な内容や多様性、自分らしい生き方について考える機会となりました。


今後もMiyazaki IT Plusは地域との関りや企業間での交流を図りながら、宮崎のIT業界を盛り上げていきます。


 


取材・執筆・撮影=藤井美帆(Qurumu)